脳のゴミを処理してくれる ―睡眠の大切さ―
寝ている間にきれいに

ぐっすりと眠れた時は目が覚めると頭がすっきりしています。そのような時は睡眠が脳に良いことを実感するに違いありません。そのように感覚的に分かっていたことが、最近は睡眠中に脳で何が起こっているのかについて研究が進んでいます。寝ている間に脳はきれいに掃除されているのです。

脳脊髄液の役割

脳とそれに連なる脊髄は、脳脊髄液に囲まれています。脳脊髄液は外部からの衝撃を吸収する働きがあり、さらに、脳の細胞から出た老廃物を洗い流す役割も担っています。脳にある細胞は活発に活動し、その後不要になったものを細胞の外に排出しますが、その老廃物を脳から洗い流すのに脳脊髄液が使われています。ちなみに、睡眠中には脳細胞が縮んで細胞と細胞の隙間が広がり、そのことによって脳脊髄液による老廃物の掃除効率が上がります。

睡眠不足のリスク

よって、睡眠時間が短いと認知症のリスクを高めます。実際に、睡眠6時間未満の状態が続くと認知機能が低下しやすくなると分かっています。また、時間帯や質も重要と考えられています。例えば、75歳以上を対象にした調査で、21~23時に寝る習慣がある人より、23時以降に寝る人の認知症の発症率は2倍高いと報告されています。また、ノンレム睡眠と呼ばれる深い睡眠の時間が短いと、アミロイドβの蓄積が進みやすいとされています。

血流が大切なのは、なぜ?

老廃物を掃除するには脳脊髄液の流れが重要です。流れを生むのは脳内血管の脈動で、アルツハイマー型認知症患者の脳では血流が遅くなっていることが知られており、血流が遅くなるとその影響で脳脊髄液の流れも弱くなり、脳の掃除も行き届かなくなります。その時に溜まってしまう老廃物の1つが、アルツハイマー型認知症の原因と言われているアミロイドβです。マウスの実験では、脳脊髄液の流れを弱めると脳内からのβの除去が滞り、逆に脳脊髄液の流れを高めてやると除去が進むという結果がでています。

    

マガジン表紙へ