「睡眠」と「認知症」の深〜い関係とは?
睡眠に問題があると

睡眠に何らかの問題を抱えている人は、認知機能の低下やアルツハイマー病発症のリスクが2倍近く高くなることが判明しました。更にこの研究では「睡眠問題を解決できれば、アルツハイマー病の約15%は予防可能」と結論づけています。質の良い睡眠を確保できれば、認知症の予防策になり得るのです。

睡眠不足が続くと

私たちの脳は日中の活動でたくさんの老廃物を溜め込んでいます。認知症(アルツハイマー病)の原因の1つと考えられているアミロイドβは、この老廃物の一種です。脳にはこうした老廃物を洗い流して掃除する仕組みがあり、この掃除システムは深く眠っている間に最も活発に働きます。睡眠不足が続いたり睡眠の質が低下したりすると、脳の掃除が十分に行われずに、アミロイドβなどの有害な老廃物が脳内に蓄積しやすくなります。この蓄積が将来の認知症発症につながるリスクと考えられています。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠問題の中でも、将来の認知症リスク因子として突出して高いのが睡眠時無呼吸症候群です。睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に何度も呼吸が止まったり浅くなったりする病気で、大きないびきや日中の強い眠気を伴うことが特徴です。呼吸が止まると脳への酸素供給が不足する低酸素状態となりますが、こうした状態が認知症の原因物質とされるアミロイドβの産生をより促す可能性が指摘されています。

寝すぎも良くない

睡眠不足も体に悪いですが、睡眠時間が長すぎるのも良くないようです。ある研究で7〜8時間の睡眠を基準とした場合、7時間未満の短時間睡眠の人よりも、8時間を超える長時間睡眠の人のほうが認知症リスクは高いという結果が見られました。長すぎる睡眠は認知症リスクを上げる以外にも、うつ病など他の疾患サインである可能性もあり、注意が必要です。

    

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