睡眠を整えるには…腸を整えよう!
脳腸相関

緊張やストレスによって、お腹が痛くなったり下痢しやすくなったりすることは以前から知られてきました。気分やストレス等の脳の状態がお腹に影響を与えているのです。最近になって、逆に、お腹の環境が脳に影響を与えることも分かっています。脳と腸とは互いに関係する「脳腸相関」がなのです。

腸内の状態が悪くなると

腸には千兆以上の細菌が生息していて、腸内部の細菌バランスによって腸内環境が決まってきます。腸内環境が悪化すると、脳神経を育ててストレスへの抵抗力を高める物質「BDNF」が減ると分かっています。BDNFは脳由来の神経栄養因子と呼ばれるたんぱく質の一種で、神経細胞の成長や再生を促す物質として知られています。脳の中で記憶をつかさどる海馬に多く含まれ、神経細胞の働きを活性化してくれることが分かっているのです。

お腹の不調や乱れた食生活

ストレスによって増えるコルチゾール等の炎症物質は、睡眠を阻害する物質でもあります。腸内環境が悪化すると、睡眠の質が低下するリスクがあり、慢性的なお腹の不調や乱れた食生活は不眠につながる可能性が危惧されます。今後も腸内環境と睡眠との関連は研究が進められていきますが、すでに食事と睡眠との関係性において分かってきていることも多いのです。

食事と睡眠の関係

食事の総エネルギーが多いほど睡眠時間が短かったり、中途覚醒が長くなったりします。さらに、食物繊維を多く摂取している人は睡眠時間が長く、寝付くまでの時間や中途覚醒が短いとの結果も出ています。また、タンパク質を十分に摂取している人は睡眠時間が長く、ナトリウムをとりすぎていてカリウム摂取が少ない人は総睡眠時間が短いことも明らかになっています。良くない食事が睡眠を阻害させる一方、健康的な食習慣にすることで、睡眠を改善できる可能性が示されています。

    

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