昼間が短く気候が寒くなると ―季節性うつ―
夏は高揚する

人間の身体には自然の変化に適応する仕組みが組み込まれ、「生体リズム」と呼ばれています。1日周期のものもありますが、季節にも生体リズムがあります。夏に男女とも男性ホルモンのテストステロン分泌量がピークとなり気分が高揚して、秋を過ぎる頃に徐々に分泌量が減って高揚感も落ちていきます。

秋に気になる症状

少しずつ日が短くなるのに合わせて生体リズムのリセットをずらしていかないと、生体リズムが働きにくくなり、気分が落ち込みやすくなります。秋は「季節性うつ」になりやすい季節なのです。昼間の時間が短くなり季節が寒くなるにつれて、「集中力や思考力が落ちやすい」、「以前ならできた事がうまくできない」、「しょっちゅう悲しい気分になる」、「睡眠時間は長いのに朝起きられない」等の症状がある場合は要注意です。

軽いうちに気がつこう

うつ状態まで含めれば、うつ病は7人に1人が一生のうち一度は経験するほど身近になっています。軽症の段階で気づいて対処すれば、重症化せず回復も早いです。軽い段階で十分に休養するなど適切な処置をとるためにも、早めに気づくことが大切です。精神的なことだけが初期症状とは限らず、身体症状が出る場合もあります。寝つきが悪い、眠りが浅い等の睡眠障害、食欲不振や慢性的な便秘や下痢など消化器系の不調等です。秋は自身の身体と心にしっかり向き合い、健康不安に陥らないように気を配りましょう。

栄養が大切

うつ病は精神的なことが一番の要因ですが、栄養素の欠乏から起こることも増えています。例えば、牡蠣や牛肉などに多く含まれる亜鉛は神経細胞の伝達物質合成に不可欠で、不足が続くと集中力や記憶力の低下につながります。他に、ストレスによって失われやすいマグネシウムとカルシウムも大切な栄養素です。マグネシウムは海藻類や豆類に多く含まれ、和食メニューにすると摂りやすく、カルシウムは乳製品や小魚から摂ると良いでしょう。

    

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