消化器官だけではなく免疫の要に ー腸内細菌ー
善玉菌と悪玉菌

腸内に棲んでいる菌の種類や数は1人1人異なり、その人独自の「腸内細菌叢(腸内フローラ)を持っていて、善玉菌と悪玉菌の種類ごとにまとまることで形成されています。善玉菌と悪玉菌という言葉自体は1970年代にある研究者によって既に名付けられていました。

悪玉が多いと若くても不健康

しかし、一般の人が腸内フローラ、善玉菌、悪玉菌といった言葉を知るようになったのは2000年頃でしょう。乳児は善玉菌が多いのですが、加齢に伴い腸内環境は悪化します。例えば、便秘など排便の異常は体に良くない兆候であり、食生活によって悪玉菌が増えていることが一因と言われました。食生活が良くなければ、若くても悪玉菌が多くなって腸の状態が悪くなり、消化器官系の疾患になりやすくなります。そうならないためにも、善玉菌を増やすような食生活が大切であると言われたものでした。

免疫の要

今でももちろん、善玉菌を増やすことが大切であることは変わっていません。それどころか、腸は体にとってさらに大切な器官であることが判明しています。腸は口から入った食べ物を消化し吸収して、便をつくって排泄する消化器官です。しかし最近は消化器官というだけでなく、体内に入ってきたウイルスや細菌から体を守ってくれる免疫器官としての役割もクローズアップされています。腸には全身の約60%の免疫細胞が集中していて、腸は免疫の要の役割を担っているのです。

肝臓ケアは腸から

腸の働きは全身の健康に大きく関係します。何となく感じている疲れやだるさ、肌トラブル、すぐ風邪をひくなどの体調不良は、腸の機能低下が関係している可能性があります。他の臓器にも影響を与え、なかでも肝臓は影響が大きいと言われています。腸の働きが弱いと肝臓に負荷がかかり、肝臓の代謝や解毒の機能が低下して、全身が疲労しやすくなるのです。腸機能を改善することが肝臓病を防ぐことにもつながると考えられ始めています。

    

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