中年期と高齢期の大きな違い「肥満や認知症」
年齢によって違う

健康を考えるうえで、中年期と高齢期では注意すべきことが違います。中年期に気にすべきは「高脂肪の食事を避ける」「過食によるエネルギーの摂り過ぎに注意」「肥満を防ぐ」の3点です。高齢期は「タンパク質や脂質をしっかり摂る」「小食によるエネルギー不足に注意」「痩せすぎを防ぐ」の3点です。

高齢者は体重減少に注意

中年期と高齢期では全く違うのです。若い頃は体重が減ると「痩せた」と喜ぶ人も多いでしょうが、高齢期の自然な体重減少は、低栄養や衰弱のサインである可能性が高いです。筋肉は30才までをピークとして、加齢とともに減少していきます。1年あたり1%筋肉量は落ちていくので、70代になると若い頃の半分くらいになります。高齢者になるほど食事をしっかり十分にとり、筋肉も体脂肪もついた体を目指す必要があるのです。

肥満…とらえ方の違い

肥満と言うと一般的に、高血圧、糖尿病、脂質異常症など生活習慣病を引き起こす「健康に良くない状態」と考えられています。生活習慣病は認知症の発症リスクを上げる要因として、多くの病院では「認知症予防のためにも肥満を改善しましょう」という指導が行われてきました。しかし近年、この健康常識が覆りつつあります。中年期の肥満は危険因子ですが、高齢期における肥満は認知症発症を防ぐ可能性すらあるのです。

認知症のリスク要因

認知症のリスク要因はいくつかあり、最近の研究では中年期と高齢期(65才以上)では要因が違うことが分かっています。中年期では「高血圧」「肥満」「難聴」がリスク要因で、特に影響が大きいのが難聴です。一方、高齢期のリスク要因は「喫煙と糖尿病」以外は、「抑うつ」「運動不足」「社会的孤立」と心持ちや生活習慣に関わることなのです。「糖尿病」は高齢になってから食事に気をつけても手遅れであることも多く、中年期での食事習慣が大きく影響する疾患です。ですから、高齢期での食事制限は健康への良い影響は少ないと理解しておきましょう。

    

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