60代の老化 −腎臓と認知機能の衰え−
腎臓に注意

60代では、40代から老化し始めている肝機能低下に拍車がかかりますが、それ以外の臓器で特に注意したいのは腎臓です。腎臓は不可逆性の臓器で、一度悪くなると改善が難しい器官です。血液中の老廃物や余分な水分を体外に排出する腎臓の機能を十分果たせないリスクが上がります。

加齢により塩分に鈍感になる

ここで問題になるのが塩分です。腎臓がろ過して体外に排出する水分には塩分も含まれます。60代になると腎臓の機能が衰えていくので、若い時より処理できる塩分量は少なくなります。一方、高齢になるとより塩分を多く取りやすくなる傾向にあります。というのも、加齢に伴い味覚が変化して、特に塩味に対して鈍感になります。つまり、今までと同じような塩味を感じたいとしたら、実際はより多くの塩を取らないといけなくなるわけです。

認知機能の低下

そして、もう1つ大きな問題となるのが脳です。60代になると脳が委縮して、記憶力や判断力といった認知機能が低下し始めます。趣味を持たない人や、家族や友人達とのコミュニケーションが希薄な人は、特にその傾向が顕著になります。また、認知症予防の観点から気にかけるべきなのが睡眠です。寝れば寝るほど良いと思われがちですが、実はそうとも限りません。特に高齢者にとって、その常識は当てはまらないことも多々あります。

寝すぎは良くない

例えば、平均睡眠時間が5〜7時間の高齢者に対して、10時間以上の人は認知症リスクが2倍以上高くなるそうです。また、適切な昼寝は良いと言われますが、この昼寝にも注意が必要です。ある調査では昼寝を全くしない時と比べて、1日の昼寝時間が30分程度までなら心血管疾患リスクは低下しますが、45分を超えると昼寝しない時よりもリスクは高まるのです。

    

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