歯磨きしないと…心臓病のリスクが上がる?!
色々な病気と関係する歯周病

近年の世界各国の研究によって、歯周病がいくつかの病気に密接に関係することが明らかになっています。その中には、歯周病と循環器疾患との関連を調べる研究もあり、その研究成果として、歯周病が単に口腔内の病気だけでなく、心臓病に影響を与えることが分かってきました。

動脈硬化のリスク因子

今のところ直接的な関係を証明できたという段階ではなく、関連する証拠が多数出ている段階ですが、歯周病と心臓に何らかの関連があることは明らかであり、今後はそれを予防に役立てることが大切です。狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患の原因の1つは動脈硬化です。そして、動脈硬化に対するリスク因子として、歯周病菌が関係しているのです。

動脈硬化の血管内に…

動脈硬化を起こした血管内のプラーク(動脈硬化の病巣)を調べると、歯周病の細菌が存在しています。血管外科で動脈瘤の手術をした時にサンプルを取ってその瘤を調べてみても、歯周病菌が入っています。さらに米国のある研究で、60歳未満で歯周病による骨が溶ける度合が重症な人は、そうでない人と比べて2倍以上も心筋梗塞を発症しやすい、と報告されています。

2つの仮説

歯周病と心血管系の病気がなぜ関連しているのかは、まだはっきりとは分かっていません。ただ可能性として考えられている説がいくつかあります。1つは、歯周病の原因菌として有名な細菌は、血管壁の細胞に付着して細胞に侵入する能力が高いと言われています。そのため、血管内に歯周病菌が入り込む可能性が高く、心血管病を起こす誘因と考えられています。もう1つは、歯周組織の炎症が全身に炎症関連物質を増加させるという説も考えられています。いずれにしろ、心臓を守るために毎日の歯磨きは大切な習慣の1つであると自覚し、毎日しっかり歯磨きをしましょう。

    

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