高齢者は特に注意! −薬の多種類飲みー
自らリスクを上げているかも

国の医療費増加に関連してよく取り上げられる「高齢者の薬が多すぎる」ことについて、飲んでいる本人はもらえるものはもらっておいた方が良いと思ってしまいがちです。しかし、薬の種類を多く飲んでいることは、副作用を起こす割合を自分で上げているとも言えます。

6種類超えは注意

1か月に飲んでいる薬の種類が6種類を超えると、副作用を起こす割合が10〜15%まで高まります。高齢者に多い薬の副作用には、ふらつき、転倒、物忘れ、うつ、せん妄、食欲低下、便秘など多岐にわたります。ふらつきや転倒は骨折して寝たきりの原因になることもあり、うつやせん妄など精神的な症状は認知症と間違えられることもあり得ます。また、食欲低下や便秘など日常的な症状は、薬の副作用と気がつきにくい点があります。

薬が効きすぎるリスク

高齢者に薬の副作用が増える理由は、薬の数が多いことだけではありません。薬の効き方が加齢とともに変わってくることも影響しています。薬を服用すると胃や小腸から吸収されて、血液によって全身に循環します。そして目的の臓器に到達すると薬の効き目が表れます。そして、時間の経過とともに、薬は肝臓などで徐々に代謝されて分解され、または腎臓から排出されたりして、効き目が消えていきます。しかし高齢になると肝臓や腎臓の働きが低下するため、薬の代謝分解や排出が遅れて体内に長く残ってしまうと、薬の効き目が必要以上に長引いて薬が効きすぎてしまうのです。

「とりあえずもらう」を止めよう

病院で薬をもらうかもらわないか確認される際に、むやみに薬を欲しがらないことが大切です。まずは「とりあえずもらう」ことを止めましょう。「とりあえずもらう」ような、それほど必要ない薬は処方されても勝手に飲むのを止めてしまいがちです。そうしたことが当たり前になると、本当に必要な薬でも勝手に飲むのを止めて症状を悪化させることになりかねません。

    

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