薬ではなく…食品です! 〜機能性表示食品〜

あくまでも食品

最近問題が発覚した「紅麹」を含む健康食品。人が口から摂取するものは薬品か食品ですが、この2つは法律によって厳格に区別されています。食品を売るためには認可などを必要としませんが、その代わり通常の食品は健康効果を謳うことを法律によって禁じられています。

「特定保健用食品」とは?

1980年代の世界的な健康ブームを受けて、日本でも特定の食品に健康上の効果を表示して売りたいという要請が増えて、1991年に食品のなかに「特定保健用食品」というカテゴリーを設けて、一定基準を満たした食品について、健康上の効果を謳えるようになりました。これがいわゆる「トクホ」です。国の審査を受けてその認定を受けるためには、通常10年の年月と億単位のコストがかかると言われ、実質的に参入できるのは大企業だけということになり、導入されてから30余年で約1千件しか認められていません。

より緩い認定「機能性表示食品」

2010年代の規制緩和の波を受けて、2015年にトクホより簡単な手続きで健康食品の効果を謳うことを可能にする「機能性表示食品」という制度が導入されました。企業がガイドラインに則って効果や安全性を確認し、消費者庁に書類を提出すれば「機能性表示食品」として健康上の効果を謳えるようになりました。根拠となる論文の添付が必要ですが、その信頼性などは問われていません。制度が始まってわずか9年で件数は7千近くに及んでいます。

薬のようには審査されていない

もちろん何度も実験や検証をして論文を書き、それに基づいた製品もあるでしょう。しかし、そうではない商品があることは認めざるを得ません。問題は「機能性表示食品」を薬のように思い込む人がいる点です。「機能性表示食品」はあくまでも食品であり、しかも個々の商品について公的機関で詳細なチェックを受けているわけではない、ということを必ず理解しておきましょう。

    

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