日本人は腎臓病になりやすい? -慢性腎臓病-
予備軍も含めると…7人に1人

さまざまな理由で腎機能が慢性的に低下する病気を「慢性腎臓病」と呼びます。日本には慢性腎臓病患者が1300万人存在すると言われており、さらに予備軍を含めれば2000万人近くになります。じつに7人に1人が腎臓病の危険水域にあると考えられています。

透析患者…35万人

腎臓の働きが健常な人と比べて60%以下に低下するか、あるいは尿中にタンパク質が漏れ出るといった何らかの腎臓の異常が3か月以上続いた場合に、慢性腎臓病と診断されます。さらに腎臓の状態が悪くなって腎機能が15%までに落ちると末期腎不全状態となり、腎臓の機能を人工的に補う透析療法が必要になります。日本の透析患者の総数は約35万人に達し、さらに年間およそ4万人が新たに透析療法を始めるという厳しい現状です。

腎臓の基本ユニット「ネフロン」

腎臓では、毛細血管が糸球体という固まりを作り、その周りにボーマン嚢(のう)と呼ばれる糸球体を包む袋があり、そこに毛細血管がつながっています。この3つを合わせたものが腎臓の基本ユニットで「ネフロン」と呼ばれています。糸球体は血液やタンパク質をろ過して原尿を作り、その周りの毛細細管で原尿をさらにろ過します。また、ブドウ糖やアミノ酸などを体に再吸収させる働きもしています。

日本人のネフロンは少ない

ネフロン数は腎臓1つにつき25万~200万個と言われ、個人差が大きくなっています。ネフロンは加齢とともに減って機能低下に直結します。ネフロン数が多いと加齢によるネフロン減少に対し予備力が大きく、年齢が上がっても腎機能を保ちやすいのです。日本人は欧米人に比べネフロン数が約3分の2との研究報告があります。日本の人工透析患者数は世界第2位で、重篤な腎臓病の人の割合が高く、日本人は腎臓病により注意すべきなのです。

    

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