難聴によるリスクは「耳だけ」とは限らない!
つい放置しがちだが…

75才を過ぎれば半数以上が難聴を患うと言われるほどなので、中高年で耳が多少聞こえにくくなっても、日常生活に支障がなければあまり気にしない人が多いかもしれません。しかし最近になって研究がすすみ、中年期の難聴を放置すると、将来聴力以外のことにも問題が及ぶことが分かってきました。

認知症になるリスク

40代から60代に聴力が落ちると、将来的な認知症リスクが上がります。認知症のリスク要因を色々と調べたところ、最も大きな危険因子となったのが「中高年期(45〜65才)の聴力低下」だったのです。中高年期に聴力が落ちた人は、聴力を保っていた人に比べて2倍も認知症になりやすいと結果がでました。高血圧、肥満、運動不足、喫煙、抑うつ、社会的孤立なども調べましたが、これらの危険率は多少の違いはあれども、ほぼ1.5倍だったのに対し、「中高年期の聴力低下」の危険度だけが高く出ました。

音声処理の脳の部位が減少すると…

別の研究でも、難聴の人が10年以内に認知症を発症する確率は、難聴で無い人よりも50%高いと報告されています。難聴は聴覚の問題にとどまらず、心身の健康リスクを高めるのです。年齢を重ねると脳は萎縮する傾向にありますが、難聴の高齢者ほどそれが強く現れます。脳の各部位は互いに連携しながら機能しているため、音声言語を処理する部位の体積が減少すると、脳全体を悪化させるのです。

難聴と認知症

難聴と認知症には高い相関関係があるのは間違いないようです。聞こえにくいことに気づいたら、放置せずにきちんと医療機関を受診しましょう。そして、聴力を守る予防の基本は「大きな音を避けること」です。数値的には85デシベル、走行中の電車内や直近での救急車のサイレンと同レベルの音は耳に良くありません。なるべく避けるようにするのが賢明です。

    

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