子どもの耳…ヘッドホンで危険な状態に?
11億人にリスク

難聴の悩みは大人以上に子どもに増加しています。WHO(世界保健機関)は、若者を中心に約11億人が、携帯型音楽プレーヤーやスマートフォンなどによる音響性難聴のリスクにさらされていると警鐘を鳴らしています。「ヘッドホン難聴」と呼ばれ、急激に患者が増加し問題視されています。

自覚しにくい

じわじわ進行して少しずつ両耳の聞こえが悪くなるため、初期に難聴を自覚しにくいです。耳が詰まった感じや耳鳴りを伴う場合もあり、重症化すると聴力の回復が難しいため早めの受診が大切です。耳から入った音は、内耳の蝸牛(かぎゅう)という器官の有毛細胞が振動し電気信号に変換され、脳に伝わることで音として聞こえるようになります。85デシベル以上の音を聞くと、その時間に比例して有毛細胞が傷ついて壊れやすくなるのです。

80デシベル以上はリスク

有毛細胞が壊れると音を感じ取りにくくなり、難聴を引き起こします。80デシベルで1週間あたり40時間以上、98デシベルで1週間あたり75分以上聞き続けると、難聴の危険があります。特にヘッドホンやイヤホンは耳の中に直接音が入るため、周囲に音漏れするほどの大きな音で聞いたり、長時間聞き続けたりすると、難聴が起こります。有毛細胞が壊れる前であれば、耳の安静を図ることで回復します。イヤホンで音楽などを聞く時は、音量を下げる、休憩を挟む、使用時間を制限するなど対策を取りましょう。

小さい子は気をつけたい:中耳炎

もう少し年齢が下の子どもに注意したいのは中耳炎です。風邪をきっかけに中耳炎を起こすことがあり、風邪の後に耳の痛みを訴える場合は中耳炎が疑われます。言葉で表現出来ない小さな子どもは、耳に手を当てる、食欲がない、機嫌が悪いなどがないか注視しましょう。急性中耳炎に気がつかず、長引いて粘膜が腫れて耳管が詰まって、粘膜の血管から浸出液がしみだすとやっかいです。「滲出性中耳炎」は難聴を引き起こします。

    

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