始まりはイギリス -座り続けることの悪影響-
10年以上前からガイドライン

世界で早くから座りすぎの悪影響について研究し始めたのはイギリスです。10年以上も前に「すべての国民は長時間にわたる座りがちな(座位)時間をできるだけ少なくすべきである」と政府がガイドラインを出して、あらゆる国民に座っている時間を減らすことを奨励するほどです。

イギリスでは「仕事中も2時間立つべし」

最近では、デスクワーク中心の勤労者に対して、就業時間中に少なくとも2時間ほどデスクワークに伴う座位時間を減らすこと、その時間を立ったり軽く歩いたりする活動に充てることを推奨する…との具体的な内容になっています。イギリスが座位時間の長さが不健康につながることに早くから警鐘を鳴らしていたのは、かなり前の調査が影響しています。

運転手の不健康

イギリスで1950年代にバス乗務員の健康調査が行われました。車内で車掌が切符を販売していた頃のことです。運転士と車掌の健康について、心筋梗塞など心血管疾患の発症リスクを調べたところ、運転手の発症率は車掌の約2倍とはっきりした違いが出ました。なぜそのような違いが出るのかについて原因をいろいろ推測して研究したところ、座り続けることが不健康につながると分かるようになったのです。

遅ればせながら…日本も

オーストラリアでも政府がガイドラインを作成し「脱・座りすぎ」に取り組んでいます。アメリカでも、シリコンバレーで立って使うデスクがちょっとしたブームとなりました。こうしたことを受けて、世界各国の研究者が集まる国際会議が開かれるようになり、ここ10~20年の間にかなり座位行動の研究が進んだのです。日本でも世界に遅ればせながら、座り過ぎが気にされるようになってきました。実は世界20か国を対象にした調査では、世界で最も座位時間の長いのは日本人なのです。今後は日本でも座り過ぎと不健康について、さらに研究と調査が進められることでしょう。

    

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