「座り過ぎは不健康になる」…これホント!

最近よく言われるように

ここのところ「座りすぎは不健康になる」ことが日本で盛んに言われるようになっています。世界的にはすでに10年以上前から大規模な調査や研究が行われていて、実際にどのくらい病気のリスクが高まるのか具体的な数値が出ているほどです。

心血管疾患との関わり

例えばオーストラリアでは、20万人もの規模で3年にわたり「1日に座る時間と死亡リスク」が調査されています。1日のトータル座位時間が4時間以下の人と比べて、11時間以上にもなる人は死亡リスクが40%も高まります。他にも、テレビを座って見続ける時間が1日2時間未満の人に対して、4時間以上の人は死亡リスクが20%以上高くなり、心筋梗塞など心血管疾患に限れば35%以上リスクが高まるとの調査もあります。

エコノミークラス症候群

日本でも注目すべき研究が始まっていて、例えば、1日5時間以上座ってテレビを見る人は、肺血管に血栓が詰まる静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)で死亡するリスクが増加するそうです。座っている時の血流の悪さが原因のようです。ある実験で、30分座り続ければ血流速度は70%も低下することが分かりました。足の血流が悪くなると代謝機能も低下し、そうなると糖の取り込みや脂肪の分解がスムーズにいかなくなって、余分な糖や脂肪が血中に多くなり、いわゆる「血液ドロドロ」状態に陥ります。

生活習慣病への関連

エコノミークラス症候群のリスクだけでなく、糖尿病のリスクも上がります。実際に、2時間座り続けたあとの血液の状態を調べると明らかな血糖値の上昇がみられ、糖代謝にかかわるインスリンの効果が大幅に減る、という報告もあります。さらに、血液ドロドロ状態では高血圧や動脈硬化がすすんで、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高まります。今や研究者の間では、加齢と関連するほとんどの生活習慣病には座りすぎが関わっていると考えられています。

   

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