糖尿病・心疾患・肺炎 ~歯周病は万病の素~
糖尿病との深い関係

歯周病を放置すると、知らぬ間にさまざまな病気の原因となることが、国内外の研究で明らかになっています。まず、以前から歯周病と強い相関関係が指摘されているのが糖尿病です。すでに30年以上前に、糖尿病の人はそうでない人に比べて歯周病の発症率が2倍以上との調査結果が出ているほどです。

糖尿病と結びつく理由

その後も研究が世界各地で発表され、今では歯周病が糖尿病を悪化させる要因の1つである可能性が極めて高いと考えられています。歯周病と糖尿病が結びつく理由が、重度の歯周病の人の血中に増加する「炎症性サイトカイン」という物質です。歯肉の炎症が続いて歯周病が悪化して血中サイトカイン量が増えると、血糖値を下げようとするインスリンの働きが邪魔されて、糖尿病を悪化させると考えられています。

同じような対策で

肥満との関係も確実視されています。肥満と判定された人は歯周病にかかっている割合が高く、歯周病が肥満の原因の1つである可能性が高いと指摘されています。食生活において、歯周病予防を心がけると肥満防止につながります。双方の対策は共通していて、よく噛んで食べ、間食を減らすことなのです。しっかりかむと唾液がよく出て、口の中をきれいにして歯周病を防ぎます。よくかんで食べると満腹感も得られ、食べ過ぎ抑制につながります。

心疾患や肺炎も?

十分に解明されていませんが、心臓や血管系の病気、例えば、動脈硬化と関連がありそうと考えられています。血管中のプラーク(血管内膜にコレステロールが蓄積してできた血管のコブ)を調べると、歯周病菌が見つかるケースが相次いでいます。また、高齢者の肺炎として多い誤嚥性肺炎にも歯周病が関係しているようです。唾液や食べ物などと一緒に細菌が気管から肺に入り、肺炎を引き起こします。誤嚥性肺炎の原因菌を調べると、歯周病菌が数多く検出されています。

    

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