期待されるストレスや認知症への予防対策
すでに商品化も

腸の神経系的な役割のなかで、ストレスや睡眠改善に関するものは、人での臨床試験の結果を根拠にして、すでに商品化されています。乳酸菌飲料などの機能性表示食品ではヒット商品も生まれているほどです。日常的なストレスや不調にとどまらず、自閉症やうつ病をはじめとする脳に関わる病気と腸との関連に関する研究も進行中です。

アルツハイマー病予防への期待

さらに、アルツハイマー病に関する研究にも期待されています。超高齢化社会を迎えた現代においては、アルツハイマー病をはじめとした認知症患者の増加が大きな社会問題となっています。今のところ、細胞のエネルギー産生工場として知られる「ミトコンドリア」の機能が低下することが、アルツハイマー病の一因であることが明らかになっています。

進む、さまざまな研究

日本のある研究機関では、カマンベールチーズなどの発酵乳製品に多く含まれる乳由来のペプチドが、アルツハイマー病の一因であるミトコンドリア機能の低下を改善することが発見されました。今や世界中でアルツハイマー病と腸内細菌の相関に関する研究が多く発表されています。例えば米国では、アルツハイマー病患者は腸内細菌の種類が乏しく、乳酸菌とビフィズス菌を含む腸内細菌が減少している、との研究結果が出ています。

期待されるのは・・・認知症予防の実現

運動習慣や日常の生活習慣などで老化の進行を遅らせられるものは分かるようになってきました。しかし未だに、老化した脳機能を改善する方法は確立されていません。腸内細菌のアルツハイマー予防効果が、老化の予防法や改善方法の開発基盤となり、老化とともに発症リスクが上昇する疾患に対する予防法の開発に結びつくものと期待されています。

    

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