やみくもに減らすべからず ー炭水化物・脂肪酸ー
炭水化物を減らす人が増えている

エネルギーとなる成分は大きく分けて、たんぱく質、脂質、炭水化物の3つです。この中で最近減らそうとする人が多いのが、ご飯、パン、麺類などの主食を構成する炭水化物です。炭水化物をあまり摂らないようにする「糖質制限ダイエット」や「低炭水化物ダイエット」をする人が増えているのです。

炭水化物が少ないと

三大栄養素の摂取割合は、炭水化物が少なければ相対的にタンパク質と脂質が多くなる、という関係性があります。三大栄養素の摂取割合とガンとの関係を調べた研究では、炭水化物の割合が低くなるほど、大腸ガンや肺ガンなどの罹患リスクが高くなる傾向が認められたのです。特に、タンパク質と脂質が動物性食品の場合は、この傾向が顕著に見られました。

嫌われがちな「飽和脂肪酸」だけど・・・

一方、脂質として栄養に良いとして積極的に摂る人が増えているのが、オリーブオイルやエゴマ油などに代表される不飽和脂肪酸です。それとは逆に、肉の脂などに多い「飽和脂肪酸」は健康に良くないイメージが植えつけられていて、美味しいけれど健康に良くないものと認識されがちです。しかし、ある実験によると、1日に食べる飽和脂肪酸が多いほど脳出血や脳梗塞の発症リスクが低くなるとの結果がでています。

常識は変わる

これまで飽和脂肪酸は、コレステロール値を上げて動脈硬化になりやすくするため、摂取を控えるよう指導されることがありました。しかし、健康に関する常識は研究がすすめば変化していきます。その良い例が卵です。卵は「コレステロール値を上げるから1日1個が望ましい」と言われてきました。しかし、これは実験に使ったウサギは草食動物のため動物性の卵を通常は食べないため、血中コレステロール値を一定に調整できなかったに過ぎないのです。人間は食事のコレステロール量が増減しても、体内で合成する量を調整できるので、卵を摂る量が多くても問題ないのです。

    

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