「森林浴」・・・意外な始まりと気になる効果とは
始まりは林野庁

花や緑と健康との関係について以前から使われている言葉は「森林浴」です。「森林浴」という言葉は日本が発祥で、現在は海外でそのまま通じる言葉となっています。1982年に林野庁が「健康や保養に日本の森林を活用しよう」と提唱した時に、「森林浴」というキャッチコピーが使われました。

科学的研究により

1990年代から森林浴がもたらす効果を科学的に検証する研究が続けられています。それによって、緑や花を愛でるとストレス状態が軽減されることが分かってきています。ストレス状態にある人は免疫力が低減して病気になりやすくなります。ストレスが減れば免疫力が改善して病気になりにくくなるわけで、これが森林浴は体に良いと言われる理由です。最近は研究がすすみ、わざわざ森林に行かなくとも、公園を散歩したりベランダに出て植物を眺めたりするだけでも効果があることが分かっています。

遺伝子レベルでは

現代が人にとってストレス過多なのは人類の歴史に関係しています。人類が誕生して以来その歴史700万年のほとんどにおいて、人は自然環境の中で過ごしてきたのです。人工環境となったのは産業革命以降の300年ほどにしか過ぎないのです。遺伝子が変化するには約1万年かかるので、人は遺伝子レベルでは自然環境で過ごすのに最適化された状態なのです。

作業効率が上がるのは・・・

ストレス度合いのベースが高くなっている現代社会においては、生産性をアップするために脳をより働かせようとすることは、かえって逆効果になるリスクもあります。森林浴の実験において作業効率を調べたところ、心拍数が上がると作業効率は下がり、心拍数が落ち着いて血圧が下がると作業効率は上がったのです。じつはリラックスした状態の方が作業効率は上がるのです。

    

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