不安から普通の生活が困難に 「不安障害」
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人間が生きていく上で、ほどほどの不安を感じることは大切です。不安という感情がいらないのであれば、それは進化の過程で消え去っているはずです。今でも不安という感情が存在するのは、生きるために不安は必要だからです。不安を感じるから、人は準備したり、警戒したり、慎重に行動したりするのです。
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しかし、その不安が行きすぎてしまうのは問題です。不安を感じすぎて毎日の生活に支障をきたすようになると「不安障害」と呼ばれます。アメリカでは、不安障害の患者は13人に1人と言われます。カウンセリングがアメリカほど一般的でない日本においても160万人以上いると言われ、15年間で倍に増えています。現代の複雑な社会では、不安は多岐にわたり、はっきりと答の出ないものも多く、現代の不安は「ぼんやりした不安」なのです。
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コロナ禍の世情では限局性恐怖症を発症する不安障害の人が増えています。限局性恐怖症とは、限られた特定の対象や症状に対して強い恐怖を感じ、不安が大きくなる疾患のことです。例えば、高所、閉所、ある特定の動物などがよくある限局性恐怖症です。コロナ感染症に罹ってしまうかもという不安で心のバランスが崩れて、不安や恐怖がコントロールできない状況に陥り、仕事や社会活動、日常生活を強く制限してしまうのです。
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また、コロナウイルスを怖がるあまりに、パニック障害のような症状を訴える人も増えています。外出すると、動悸やめまい、息苦しさといった症状が出るようになります。さらに、そうした症状が起きてしまう恐怖から、買い物や通勤といった生活に必要な外出すら避けるようになってしまうのです。
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