ある種の開発競争・・・治療薬とワクチン
「レムデシビル」

新型ウイルスの治療薬として国内で承認されているのは「レムデシビル」「デキサメタゾン」です。「レムデシビル」はエボラ出血熱の治療薬として開発したものです。アメリカで新型コロナの重症患者に投与したところ、症状が改善したり、死亡率が低下したりという効果が見られました。

「デキサメタゾン」

「デキサメタゾン」は7月に追加承認されました。炎症を改善するための抗炎症薬として半世紀以上にわたり使われてきたステロイド剤の一種で、国内の医薬品メーカーも製造しています。なお、一時話題となった「アビガン」は最初の臨床試験で「明確な有効性が確認されなかった」という結果となり、現在もまだ治験を行っています。このように、今のところコロナウイルスの治療薬は既存の薬のなかで効果が出るものを使用しているのです。

ワクチン開発

ワクチンは160種類以上のワクチンが世界中で開発途上にあり、約30種類が人に投与する臨床実験に入っています。通常のワクチン開発のプロセスは、動物実験を経た後、人間を対象にした臨床試験で安全性と有効性を検証します。臨床試験は、フェーズ1(ごく少数の人が対象)、フェーズ2(数十人から数百人)、フェーズ3(数千人)へと、ワクチンを投与する人の数を増やしていくのです。

今年中に量産体制へ

ワクチンは開発開始から実用化まで通常は5年かかると言われますが、コロナウイルスのワクチンに関しては、とにかく早さが重要視されています。各国があまりにワクチン開発を急ぎ過ぎることを憂慮する向きもありますが、早ければ今年9月には量産体制が整って医療機関等へのワクチン提供が始まる予定となっています。日本政府はそうした開発の早い会社のうち、イギリスの製薬会社と1億2千回分のワクチン供給で合意し、来年1月から供給を受けることになっています。

    

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