「性差医療」は、まだまだ発展途上中
1990年代後半から

最近では女性の体と心をトータルで診る「女性外来」もかなり知られるようになりました。このように男性と女性の違いに注目した医療は「性差医療」と呼ばれ、1990年代後半から進展してきました。新しい分野なので、まだ不明なことが多いのも事実です。

女性は「小さな男性」

1980年代までは医療はほぼ男女の性差を考慮せずに行なわれてきました。生殖機能に関しては男性と女性に大きな違いがあるとされてきましたが、そうしたことと関わりのないほとんどの病気は、発症の仕組み・予防法・治療法などに、男女の違いはないと考えられてきたのです。女性は「小さな男性」と位置づけられ、体格差を考慮して女性には薬の投薬量を男性より少なめにするといった程度のことしか行われてきませんでした。

男性と女性はこんなに違う

同じ病気でも男性と女性では発症や進行に差がでたり、同じ治療を受けても異なった結果が生じてきたりすることが分かってきています。また、男性と女性では病気の発症メカニズムだけでなく効果的な予防法でもかなり異なることが最新の研究で明らかになっています。そうした違いを生み出す重要なカギを握っているのはホルモンの働きです。男性と女性それぞれが持つ、男性ホルモンと女性ホルモンの違いなのです。

女性ホルモンはわずかスプーン1杯ほど

女性ホルモンは10歳頃から分泌量が増えはじめ、女性らしい体つきを形成し、月経・妊娠・出産などに大きく関わります。女性の体内で分泌される一生分の女性ホルモンの量はわずかスプーン1杯程度ですが、それらは大きな影響を与えるのです。

    

マガジン表紙へ