記録に残さないために・・・「忍者の記憶術」

記録を残さない掟

忍者はただ敵に侵入すればいいわけではなく、情報を収集して雇い主に報告する必要があります。しかも、万が一敵に見つかったときに怪しまれないように、一切を記録に残さないという掟がありました。そのためには、見たり聞いたりしたことをすぐその場で記憶しなければなりません。

身体の部位に番号をふる

忍者の使う記憶法の1つが身体の部位を使ったものです。目、鼻、口などに番号をふって記憶する、番号と覚えるものを結びつける連想式の記憶法です。例えば、1頭、2額、3目、4鼻、5口、6耳・・・と番号をあらかじめ決めておき、実際に敵陣で敵兵の数などを記憶する時に、「門番5人・口、見張り4人・鼻、馬6頭・耳」と、身体の部位を触りながら記憶します。

「場所細胞」

脳の中で記憶をつかさどる海馬と呼ばれる部分には、「場所細胞」と呼ばれる神経細胞があり、その名の通り場所を正確に記憶する細胞なのです。場所の記憶は他の記憶とは別に、この「場所細胞」が無意識に記憶してくれるのです。ですから、場所と結びつけた事柄は記憶に残りやすいのです。例えば、リビングにいて何かを自分の部屋に取りに行ったところ、何を取りに来たのか忘れてしまったけれど、一度リビングに戻ったら思い出したという経験をした人は多いでしょう。これが「場所細胞」の力なのです。

大げさに覚えるのも1つの手

場所に結びつけることと同時に“大げさに”覚えるということも効果があります。例えば、先ほどの「門番5人・口」と記憶する際に「大きな口の門番」を想像して覚えておくのです。こうした複数の記憶法を上手に使うことで、人は記憶力を高められるのです。

    

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