日本人にしか出来ない「口中調味」とは?

和食の基本の食べ方

和食の基本はごはんとおかずを交互に食べる、いわゆる「三角食べ」のスタイルです。白米と一汁三菜を献立の基本として、交互にご飯とおかずを口にする「三角食べ」は、日本の家庭で当たり前のように実践されてきました。

出来ない子どもが増えている

しかし最近何か1つのものだけを食べ続ける「ばっかり食べ」が増えています。小中学生への調査では、「三角食べ」ができない児童が4人に1人の割合でいることが分かりました。実は「三角食べ」スタイルは欧米などでは見られませんし、欧米人がそれをやろうとしてもなかなか出来ないのです。口の中に入れた食物の咀嚼を途中で止めたまま口を半開きにしておいて、そのまま次の食物や液体を放り込むのは、微妙な動きを必要とするのです。

「三角食べ」で生まれる「口中調味」

しかし「三角食べ」はとても大切なことなのです。「三角食べ」をすることで「口中調味」という働きが生まれます。主食の白米と、主菜、副菜、汁物などを交互に少しずつ食べ、口の中で混ぜ合わせて味の広がりを楽しむのです。「口中調味」は味への需要を広くすると言われています。完成された品を一皿ずつ食べるより、複雑な味わいを生むのです。

身体に良い効果

さらに身体のためにも「口中調味」には良い点があります。まずは唾液量の変化です。米飯だけを食べるよりも、おかずと一緒に米飯を食べると咀嚼回数が増えて唾液量が増加します。食べ物をよくかみ砕くことで唾液が増え、その中の酵素が働き、栄養素を消化しやすくなります。すると、血糖値が比較的速やかに上昇し、食べる量は少なくても脳の満腹中枢を早く刺激して食欲が抑えられるのです。

    

マガジン表紙へ