やる気パワーと食べ過ぎ防止 「噛む力」

歯と骨の間にある膜

歯と骨の間には「歯根膜(しこんまく)」と呼ばれる薄い膜があります。この膜は歯と骨の間でクッションのようや役目で、口の中にある重要なセンサーのひとつになります。噛んだものの硬さや厚さを敏感に感じ取り、その情報を脳へ伝える役割を果たしているのです。

噛むと脳に刺激

歯根膜は脳神経の中でも最も太い三叉神経につながっています。噛むことで歯根膜に伝わった刺激は脳に伝わります。感覚、運動、記憶、思考、意欲をつかさどる部分、影響は脳内のかなり広範囲にわたり、それによって脳が活性化されるのです。つまり、噛むことによって、記憶力、思考力、やる気などといった、生きるために重要な力がみなぎるのです。

食欲をコントロール

「やる気がみなぎる」だけにとどまりません。噛んだことによる刺激は、歯根膜から脳の「結節乳頭核」という部分にも伝えられ、これによって脳内ではヒスタミンが量産されます。ヒスタミンは、鼻づまりやかゆみなどのアレルギー反応を引き起こす物質として知られていますが、じつは脳の中では満腹中枢を刺激する性質があり、食欲を抑制してくれます。その上、ヒスタミンは交感神経も刺激して、脂肪まで減らしてくれるという嬉しい作用もあるのです。

脳と食欲

食欲をコントロールするのはとても難しいものです。例えばある実験で、味のないゼリーと砂糖が入ったゼリーを食べた時の脳の状態を比較したところ、美味しいゼリーを食べた時だけ、物事を判断して決定する役割を持つ前頭前野の活動が低下することが分かりました。つまり、美味しい食べ物の前では脳レベルで判断力が鈍ってしまい、人は食欲をコントロール出来ないのです。しかし、噛むことによって制御しにくい食欲をしっかりと抑制できるのです。

    

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