消毒と加熱のポイント −ノロ対策ー


二枚貝が原因

ノロウイルスはカキなどの二枚貝による食中毒が原因です。しかし不思議なことに食品の中では増殖せず、人の腸内でだけ増殖します。ノロウイルスは糞便と嘔吐物を感染経路として人から人に感染を広げていきます。ですから、下痢や嘔吐に対して適切に対処すれば感染を防ぐことが出来るのです。

消毒がやっかい

ただし問題は、感染予防対策に大切な役割をする消毒が、通常の方法では出来ないことなのです。汚染された衣服は洗濯機で洗っても消えません。嘔吐物が付いた床などは、雑巾で拭いたりアルコール消毒をしたりしても消えません。衣服は塩素系の漂白剤で洗濯し、床などは塩素系の溶液で拭き取る必要があります。汚染物は出来れば捨てた方が良いですが、その場合も必ずビニール袋に密封してから捨てましょう。

85度以上で1分加熱

ノロウイルスの弱点は熱に弱いことです。ただし、ウイルスの感染力を失くすためには、食材を85度以上で1分以上加熱する必要があります。貝類の生食や生煮えが特に危険であることを覚えておきましょう。さらに、調理をする時には1分の加熱では不十分です。食材の中心部分が85度以上で1分以上加熱されなければならないのです。中心まで熱が通る時間差を計算して調理するよう心がけましょう。また、魚介類の生を置いたまな板などを、そのまま生の野菜を切るのに使うのをやめましょう。さらに、手洗いを頻繁にしっかり行なうことも大切です。

3〜5日後まで注意

さらに厄介なのが、ノロウイルスは症状が治まっても3〜5日間くらいは便にウイルスが含まれることです。治ったからといって安心して消毒を怠ってしまうと、まだ十分な感染力があって、次の人にうつすことになります。ちなみに、インフルエンザのようにワクチンがあれば、感染拡大を多少なりとも防げるのですが、ノロウイルスは人の腸内以外では増殖できないため、研究のためにウイルスを増殖させることも難しく、今のところワクチンの実用化に至っていないのです。

    

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