口の周りだけじゃない! 「ヘルペスを知ろう」


口の周りだけと思われがち

肌のトラブルのひとつと言えるのが「ヘルペス」です。ヘルペスと聞いて思い浮かべるのは、くちびるの周りに水疱(すいほう)や潰瘍(かいよう)が出来る口唇(こうしん)ヘルペスでしょう。しかし、実は人に感染するヘルペスウイルスは全部で8種類あり、身体のさまざまな部分に関係しています。

70%以上の人が…

日本人の70%以上が8種類のヘルペスウイルスに知らず知らずに感染して、それを体内に潜ませています。ウイルスは唾液を介して感染するので、乳幼児期に母親などから初感染し、歯肉口内炎となることが多いようです。そして、症状が治まった後には三叉(さんさ)神経節という場所に住みつくのです。実はヘルペスは病気を引き起こす負の側面ばかりではありません。ヘルペスウイスルに再感染したり、再活性化したりを繰り返すことで、体内の免疫システムが刺激され、他の感染症に対する抵抗力を高めるのです。

注意したいヘルペスウイルス

注意したいヘルペスウイルスが、水痘・帯状疱疹ウイルスです。子どもの頃に水痘(水ぼうそう)に罹った人は免疫ができ、再び発症することは少なくなります。この免疫力は少しずつ衰えますが、小さな子どもに接して症状が出ない程度の再感染をすると、また免疫力が高まります。しかし、小児への水痘ワクチン接種が増え、水痘の流行が減っています。すると、感染機会がなくなり、成人になってかかった水痘が重症化したり、帯状疱疹が発症しやすくなったりすることが懸念されます。

妊婦が気をつけたい

また、妊婦が気をつけたいのが、サイトメガロウイルス(CMV)と呼ばれるヘルペスウイルスです。妊婦が感染すると、ウイルスが胎児に感染することがあります。感染しても多くは正常に発達しますが、千人に1人の割合で胎児に脳・聴力・視力に先天性の障害をもたらします。

    

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