こんなにある?! 蚊が媒介する感染症


人間を一番殺しているのは?

実は、様々な動物の中で一番人間を殺している動物は蚊です。蚊を媒介とする感染症の中で、日本人も覚えておいた方が良いものがいくつかあります。まずは日本脳炎です。豚や野鳥の体内で無症状のまま増えていき、その感染した動物を刺した蚊が人を指すことで、人に感染します。

日本脳炎:ワクチンが大切

体内に侵入したウイルスはリンパ節で増殖して血中に流れますが、たいていの人は自然治癒します。しかし、約300人に1人はウイルスが脳に侵入して脳炎を起こします。抗ウイルス薬はなく、脳炎になるとかなりの割合で後遺症が残るので、ワクチンによる予防が第一です。予防接種後の副反応などが原因で、2005年から数年間ワクチンの定期接種が行なわれませんでした。現在は重症な副反応が出にくいタイプに変更されているので、未接種の人は早めに接種しましょう。

西ナイル熱:アメリカで流行

西ナイル熱はアフリカで最初に発症患者が出ましたが、2003年にアメリカ合衆国で約1万人が罹患しました。数は減っていますが、アメリカでは継続的に患者が出ています。感染しても80%の人は症状が出ませんが、感染者の約1%が重症化して脳炎を起こします。抗ウイルス薬はなく、ワクチンは現在開発中と言われています。日本ではまだ患者は出ていませんが、媒介となるコガタアカイエカは日本に生息しているので、いつ日本で患者が出てもおかしくありません。

マラリア:年に2億人が罹る

蚊が媒介する感染症で、世界的に一番有名なものがマラリアです。年間2億人が罹患し、死者は200万人にのぼり、結核やエイズと並ぶ世界三大感染症です。日本では今のところ、海外で感染してきた人だけで患者数は年間100人以下です。しかし、媒介するハマダラカは日本にも生息しているので、今後デング熱のように患者が発生する可能性はあります。ただし、有効な治療薬があるので、怖がりすぎる必要はありません。

    

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