呼吸器に不可欠…異物を除去するシステム


体に良くないものを排除する

呼吸をすると必要な酸素だけではなく、体に有害な病原菌や化学物質などの異物がどうしても入り込んできてしまいます。しかし、ヒトは呼吸をしなければ生きていけません。そのため、そうした異物を除去する働きが、鼻から肺胞に至るまで、呼吸器には備わっているのです。

鼻の役割は大切

比較的大きな異物は、まず鼻毛によって除かれます。病原菌の50〜80%は鼻の粘膜に吸着されて処理されるのです。さらに、鼻を通りぬけることによって、冷たくて乾いた空気でも、鼻腔で暖められ湿度を含んだ状態になり、病原菌が奥に入っていきにくくなります。ノドにも粘膜はあるのですが、ノドには温度や湿度の調節機能がないので、異物を取り除く機能は鼻より低くなってしまいます。

器官には、上を向いている繊毛

鼻やノドの上気道を通り抜けた異物は、気管や気管支の内壁の粘膜によって捕えられます。この粘膜の表面には繊毛は生えていて、気管支から太い器官の方へ向ってリズミカルに波打っています。この繊毛によって、粘液とともに咽頭の方へ異物が送り戻されるのです。これによって、異物はたいてい食道へと落ちていくのです。この異物の量が多くなると、痰(たん)となって排出されます。さらに量が多くなったり、急を要する場合には、咳やくしゃみによって排出されるのです。

気管支や肺胞にも

細気管支や肺胞の表面にも白血球などの細胞が存在しているので、仮にそこに細菌などが侵入したとしても、それを退治するべく防衛反応が働くようになっています。もちろん、どれくらいの防衛反応が出来るかは人によって違ってきます。この防衛反応の能力が、いわゆる免疫力と呼ばれるものなのです。身体的な免疫力が弱いと思われる場合には、より異物が入らないような対策をとる必要があるでしょう。

    

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