耳の衰えは、個人差がかなり大きい!


個人差の大きい「耳の衰え」

「年をとれば耳は遠くなるもの」と思われがちです。たしかに、人の聴力は20代までは安定していますが、30代以降は少しずつ衰えていき、60代で衰えが加速するというように、年齢を重ねると衰えるものです。しかし、その衰え方は、かなり個人差が大きいのが現実です。

聴力と生活の質は密接に

ある調査では、60代の3人に1人が難聴と診断されるほどに聴力が低下していました。その一方で、70代でも目立った衰えのない人が4割もいたという結果が出ました。高齢者は、聴力と生活の質や病気とが密接に結びついています。例えば、初期の認知症と思われていた人が、補聴器などで聴力を取り戻すことで、認知症の症状が改善できる場合などがあるのです。

健康診断では見つかりにくい

聴力低下は個人差が大きい上に、少しずつ衰えるために気づきにくいのです。さらに、聴力の異変は、通常の健康診断では見逃されやすいのです。企業などの定期健康診断の聴覚検査では、1キロヘルツと4キロヘルツの2つの高さの音だけを調べる場合が多く、聴力低下のサインを捉えられない場合もあります。8キロヘルツ以上の高い周波数や低音域の異常を検査するには、防音状態で7つ程度の周波数を調べる「純音聴力検査」を受けることが必要です。

原因に早く気づけば・・・

聴力低下に早く気づくことは、さらなる聴力低下を食い止めることにつながります。例えば、聴力低下の原因のひとつは、高血圧や糖尿病などの生活習慣病がもたらす動脈硬化です。内耳の中には音を感じる繊毛細胞が無数に存在していて、血流不足がこれらの細胞を死滅させるからなのです。こうした人の場合、動脈硬化を改善すれば聴力低下に歯止めをかけることが出来ます。

    

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