「慢性腎臓病」が今、注目される理由


心臓や脳の疾患リスクを高める

腎臓の機能低下により、心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中などの疾患を起こす危険が高まることが分かってきました。ある調査では、慢性腎臓病の患者は、そうでない患者と比較して、心臓血管障害の発症率が約3倍近いという結果が出ました。慢性腎臓病は、近年注目されているメタボリックシンドロームと同じくらい、心疾患のリスクを高めることが分かってきたのです。

治療が可能になった

医学の進歩により、慢性腎臓病の治療が可能になってきたことも、この病気が注目されている理由です。早期に原因を発見して治療を行なえば、腎臓の機能が低下するのを抑えられ、改善も期待できます。

医療費の削減にもつながる

慢性腎臓病が悪化すると、透析治療が必要になります。透析治療は通院などの制約が必要となり、生活の質を下げてしまいます。その上、国民医療費にも大きな負担となります。透析にかかる費用は年間1兆円を超え、総医療費の4%を占めるほどなのです。そこで、分かりやすい診断指標を用いた慢性腎臓病の定義を導入し、これを普及させて、多くの人の健康維持につなげていこうという動きが広がっているのです。

血圧のコントロールが大切

慢性腎臓病の進行を抑えるために重要なのは、何といっても血圧のコントロールです。慢性腎臓病は高血圧を引き起こしやすく、高血圧も腎臓内部の血管を傷つけ慢性腎臓病を悪化させます。慢性腎臓病と高血圧は一緒に起こりやすく、またお互いを悪化させるという悪循環を引き起こします。そして、この2つが重なると、心血管疾患を起こす危険がさらに高まります。毎日自宅で血圧を測定し、医師のチェックを受けながら、適正な範囲にコントロールしていくことが大切です。

    

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