負担の増える健康保険組合


改善指導が義務付け

このメタボ健診が始まったことにより、今まで以上の負担を強いられることになったのが、企業の健康保険組合です。今までは健康診断を行なうだけでしたが、メタボ健診では、メタボリックシンドロームやその予備軍と診断された人に対して、生活習慣の改善指導を行うことが、企業の健康保険組合や国民健康保険を運営する市町村に義務付けられます。

受診率が上がらなければ…罰則も

また、以前の健康診断では、被保険者(従業員)本人だけが対象でしたが、メタボ健診では、40〜74歳の従業員だけでなく、従業員の被扶養者へのメタボ健診も義務付けられています。そして、受診者が少なかったり、生活習慣改善の指導効果が見られなければ、その健康保険組合に対して、罰則として、後期高齢者(長寿)医療制度への拠出金が増額されてしまいます。

解散する健保組合も

こうして、メタボ健診や高齢者医療制度改革により、健康保険組合への負担が増えていく中、5万7000人もが加入する大型健康保険組合が解散しました。メタボ健診や高齢者医療制度改革への負担増で、今後も解散する健保が増えることが懸念されています。

自治体も…見直しや廃止を求める声が7割

国民健康保険の担い手として、企業の健康保険組合と同じような立場にある市町村においても、メタボ健診に対する不満は多いようです。「メタボに限定した検査でほかの病気を見落とす可能性が高くなる」「制度が複雑で受診率が下がる」「医療費抑制につながるか疑問」などと言った声が上がっています。ある調査では、メタボ健診に関して「見直し」を求める自治体が6割、「廃止」を望む自治体が1割と、約7割の自治体が現行のメタボ健診に不満を持っていることが浮き彫りになりました。

    

マガジン表紙へ