定額制導入で・・・医療費抑制なるか?


医療費節減のため「定額制」を推進

厚生労働省は、同じ病気の場合は入院1日あたりの医療費が一定の金額になる「定額制」を導入する病院数を増やす方針を固めました。2012年までに、現在の3倍の1000病院まで増やします。厚生労働省が現在進めている、医療費節減を推進するための方策の1つなのです。

現在の主流は「出来高制」

導入する病院を増やそうとしている「定額制」に対し、現在主流となっているのは「出来高制」です。公的医療保険から医療機関に支払われる診療報酬は、検査や注射といった診療行為1つ1つについて、国が定めた価格を加算していく方式です。医療機関は、検査や投薬をすればするほど収入が増えるため、必要のない診療行為をする例も目立ちます。

「定額制」にすると・・・

これを病気ごとの「定額制」にすると、病院側は過剰な検査や投薬などを控えて効率的に診察すれば利益が増えますから、過剰な投薬や検査を減らすように努力する必要に迫られます。患者側にとっても、医療費負担が減る公算が大きいのです。日本の医療は、治療方法の標準化が遅れていて、定額払いの導入は適正な治療方法を広めるきっかけになる、との指摘もあります。

粗悪な診療を招く懸念も

実際に2003年から「定額制」を取り入れた病院では、平均入院日数が導入前の22日間から17日間へ減少しているなど、医療費削減の効果は確実にあがっているようです。ただし、同じ病院で6週間以内に再入院した割合が増えており、患者を前倒しで退院させて再入院させるといった実態もあります。「定額制」は粗略な診療を招く懸念もありますから、不正行為の監視を強化する方策を打ち出す必要もあるでしょう。

  


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