本人さえ気づかない「仮面うつ」にご用心


「うつ病」は憂うつ気分だけとは限らない

うつ病は「憂うつな気分が続く」などといった精神的な症状が出ることという認識がありますが、実はそれだけが初期症状とは限りません。自分ではほとんど憂うつ感や気分の落ち込みを感じていないのに、身体症状に出ている場合があるのです。

その身体症状は?

その身体症状は、寝つきが悪い、眠りが浅い、目覚めが早いといった睡眠障害や食欲不振、疲労感、全身倦怠、頭痛、肩こり、目のかすみ、慢性的な便秘や下痢などで、実に様々で身近なものばかりです。また、頭や首、腰を中心に、慢性疼痛(とうつう)のような痛みが出ることもあります。

肉体疲労という「仮面」を被る「うつ」

つまり「仮面うつ病」とは、精神症状が身体症状という「仮面」の下に隠れてしまっているということ。まず内科に行く人が多いのですが、検査をしても数値に表れることが少ないため、いろんな科を転々とするうちに症状が進行し重症に陥るケースも少なくありません。最初の診療で「異常なし」と言われた後も、前記の症状が改善されなければ、「仮面うつ病」を疑い、精神科や心療内科を受診してみた方が良いかもしれません。

「うつ」は誰でもなる可能性があるもの

ただし、「仮面うつ病」になりやすいタイプの人は真面目で几帳面、頑張り屋の人。こうした人は自分の「うつ」的な感情を無理して抑える傾向にあります。病院でも深刻な顔をせずにニコニコしていて、自分がうつ病だと疑っている人は少ないそうです。軽いうつ状態は“心の風邪”で誰でもなる可能性があるものと考え、自分を責めずに専門医の診療を受けるようにしましょう。

  


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