「PET検診」の落とし穴


PET検診、見落とし率85%

「全身の小さなガンを一度に発見できる」とまるで夢のように完璧な検診と一部で謳われていたPET(陽電子放射断層撮影)検診が、国立がんセンターの内部調査で、ガンの85%を見落としていたことが分かりました。その85%は、超音波・CT・内視鏡など他の検査で見つけられたのです。

全身を一気に、痛みもなく調べられるPET

PETは、「ガン細胞が正常細胞より何倍もの速さでブドウ糖を取り込む性質を利用してガンを見つけるという仕組み」で、全身を一度にくまなく調べることが出来、痛みも少なく、準備を入れても約2時間という短時間で済むことが利点です。

元々は、ガンの転移を診断するため

但し、どんな小さなガンでも発見できるというのは正しいと言えません。PET検診を行なっているある病院でも「1センチ未満の発見は難しい」と正直に言っている所もあります。もともと欧米で、ガンの転移の有無を診断するために使われていたのです。それが、少なくとも数億円と言われる設備機器などの投資を回収するために稼働率を上げる必要があり、検診に手を広げるようになったという実情があるのです。

特徴を理解して、他の検診方法と抱き合わせで

国立ガンセンターの検診でも、胃ガン・大腸ガン・前立腺ガンで見落としが目立ちました。ただし、甲状腺ガンや膵(すい)臓ガン、悪性リンパ腫といった、これまで発見が難しかったガンでも見つけることが出来るという利点もあります。PETが夢のように完璧な検診と考えるのでなく、他の検診方法と合わせて行なっていく1つの選択肢として考えるのが良いのではないでしょうか。

  


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