脳梗塞は発症後3時間が勝負


脳梗塞は、後遺症率が高い

脳梗塞で死亡する確率は7〜8%で、90%以上は生存可能ですが、問題は後遺症。発症前と同じ状態まで回復できる割合は低く、わずか20%で、言葉が出なくなったり、手足の片側に麻痺が残ったりする人など、程度の差はありますが発症者の70%以上に後遺症が残るのです。

昨年新しい薬が保険適用に

血栓を溶かし小さくして血流を元の状態に戻せる薬「tPA」が昨年10月保険適用となりました。欧米を始め世界40カ国以上で既に脳梗塞治療に使われているのですが、日本では今までこの薬は、心筋梗塞の患者にしか使われていませんでした。今後、これにより完治率(後遺症が残らない)が上がることが期待されています。

発症後3時間以内の投与が必要

ただし、この薬にも課題はあります。血流が途絶えた状態が長くつづくと、わずかな時間で脳の血管壁はもろくなっていくので、たとえ血栓が溶けて血流が回復しても、脳出血を起こす確率が高くなるのです。そのため、薬の治療効果が期待でき、副作用が少なくてすむためにも、この「tPA」という薬は、発症後3時間以内に投与しなければならないのです。

疑わしい時はすぐに救急で脳血管の専門医へ

脳梗塞の初期症状は多岐に渡りますが、具体的には「突然の意識障害」「左右どちらかの手足のしびれ」「視野の半分が欠けたり二重にみえたりする視覚障害」などが代表的なものです。こうした症状が出て「いつもと様子がおかしい」と思ったら、「少し休めば治るだろう」とタカをくくらず、救急車で脳血管疾患の専門医がいる病院に直行するのが良いでしょう。

  


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