レセプト電子化は骨抜き?


電子化で紙資料から解放される

来年4月に、支払基金から健康保険組合へのレセプトの電子化が可能になります。ところが、この電子化は実質「骨抜き」となる可能性が出てきました。レセプトを電子化することによって改善される点は、まず、紙レセプトの郵送や保管の手間が省けることがあります。こうした点は、確かに今回の変更で効果が出ると言えます。

医療費の分析・点検がしやすくなる

もう1点は、健康保険組合が医療費の分析や点検がしやすくなる点が挙げられます。データを電子化し、それもテキストデータ(文字・数字情報)化出来れば、そのデータを過去データと照合して過誤請求をみつけやすいのです。例えば、過去データと照合できれば、医療機関が通常1回で済む検査を数ヶ月内に何度か行なっていれば、「それはおかしい」と見つける事が出来たりするのです。

分析・点検に必要な文字情報が少ない

ただし、来年4月からスタートするレセプト電子化については、電子化に慎重な医療機関サイドと調整がつかず、結局、全250項目のうち約4分の1にあたる約60項目だけが「文字・数字情報」化され、残りは画像データでの提供になることになったからです。今回電子化されるもののうち、テキストデータ化されるのは、被保険者番号や疾病名などだけとなりました。

分析・点検には組合側の手間がかかる

医療費の分析に必要な投薬や検査などの診療情報は、画像データで提供されるのです。こうした画像データを医療費の分析などに使うには、改めて保険組合側で入力作業をしてテキストデータ化しなければなりません。手間と費用がかかりますから、実質保健組合側でも実行は困難になると思われます。今回の電子化では、「医療費の分析・点検」といった点の実効性を上げることは難しいといえます。

  


マガジン表紙へ