変わる診断基準 〜新しい情報の大切さ〜

認知症という病気はない

「認知症」という病気は存在しません。認知症とは、さまざまな脳の病気により、脳の神経細胞の働きが低下し、記憶や判断力などの認知機能が衰えて、ある一定期間継続して社会生活に支障をきたした状態をいいます。認知症とは病名ではなく、認知機能の低下による共通症状が存在する「病気のグループの名称(症候群)」です。

2010年代に基準が変化

認知症は「共通症状」を基準とした症候群なので、それには基準となる症状が決まっています。現在医師が認知症を診断する際に使われているのは、例えば、2013年のアメリカ精神医学会による「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版」です。このマニュアルは、これ以前のものに比べて画期的と言われており、その理由は「他人の気持ちを理解する」「まわりの人たちと協調する」といった社会性や協調性が認知症の診断基準に含まれたからです。

現在の「診断基準」

下記のうち1項目でも「有意な認知低下」があると認知症が疑われます。
・学習と記憶の障害 ・言語機能の障害
・実行機能の障害(自発的に計画的に目的のために行動することが困難)
・知覚―運動系の障害(視覚認知・視空間認知の障害)
・複雑性注意の障害(注意の持続が困難、必要な事に注意を集中できない)
・社会的認知の障害(他人の思考や感情を類推できない、同情や共感の喪失)

進化し変化する基準

かつて社会性認知障害は軽視されがちで、記憶障害や言語障害などに重点が置かれていました。特に記憶障害に重きが置かれ、認知症の診断には必ず記憶障害が必要とされていました。しかし最近では「記憶障害が目立たない認知症」が存在することが認められています。そして、情報処理速度の低下、つまり、思考や作業に時間がかかり過ぎるという、「精神運動速度の遅延」が2022年にWHOによって加えられています。

   

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