「脳・腸・筋肉」 〜相関関係の不思議〜
お互いに影響

脳、腸、筋肉は、新たな研究や調査によって判明したことにより、20年前と今で色々と変わってきています。一番大きな違いは、脳・腸・筋肉が、脳腸相関、腸筋相関、筋脳相関と呼ばれるような、それぞれがお互いに影響を与えていることです。

「脳と腸」相関

腸は「第二の脳」とも呼ばれる独自の神経ネットワークを持っていて、脳からの指令が無くても独立して活動できることが分かりました。一方で、ストレスを感じるとおなかが痛くなり、便意をもよおします。これは脳が自律神経を介して、腸にストレスの刺激を伝えるからです。逆に、腸に病原菌が感染すると、脳で不安感が増すと言われています。また、脳で感じる食欲には消化管から放出されるホルモンが関与していますし、腸内に常在する細菌も脳の機能に影響を及ぼす、との研究も発表されています。

「腸と筋肉」相関

マイオカインとは筋肉から分泌されるホルモンやペプチドなどの物質の総称です。運動すると分泌されるマイオカインが骨や血管、腸など全身の臓器に良い影響を与えます。また一方で、腸で吸収された食べ物が筋肉に影響を及ぼすメカニズムの研究が進められています。例えば、腸内環境に良い成分、例えば乳酸菌や食物繊維を積極的に摂ると、エネルギー代謝量のアップに繋がります。また、抗酸化成分であるアスタキサンチン、βカロテン、レスベラトロールは、筋肉を肥大させる効果が高いと言われています。

「筋肉と脳」相関

運動によって記憶力や集中力など脳の働きが刺激されることが研究で分かってきました。脳に良い影響を与えるのがBDNFというタンパク質です。脳内の海馬は記憶力や学習能力の向上に関わりますが、この海馬を育てるのがBDNFで、運動によってBDNFが増えれば海馬が育って脳細胞の伝達が早くなります。それによって、学習能力が向上し、記憶力や集中力が高まり、頭がよく働くようになるのです。

    

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