やみくもな予防より 「ガンリテラシー」が大切
長寿大国はガン大国

DNAが損傷するとガン細胞が発生しやすくなりますが、DNAは発ガン物質やウイルス感染などさまざまな原因で傷つくので、長く生きていればそのぶんDNA損傷が蓄積されます。人は老いていけばガンを発症しやすくなる、つまり、ガンは一種の老化現象といえ、長寿国である日本人にガン患者が多いのはやむを得ない面もあります。

ガン死亡数…日本は増えている

とはいえ、多くの先進国でガン死亡者が減少する一方、日本では増え続けています。原因の1つはガンに対する正しい知識をきちんと持っている人が少ない、いわゆるガンリテラシーが低いからです。例えば、ガン原因の第1位はタバコ、第2位は感染症です。タバコが肺ガンの元であることは良く知られていますが、それ以外にも膀胱ガンや胃ガン等さまざまなガンと関連することはあまり知られていません。また、感染症がガンの原因という認識も日本では浸透していません。胃ガン原因の9割はピロリ菌、肝臓ガンの8割がC型B型肝炎、子宮頚ガンはほぼ100%がヒトパピローマウイルスです。

実はリスクでなかったことも

これまで信じられてきたことで、実はたいしたリスクでなかったことも多く出てきています。最も多くの日本人が行っているガン対策は、発ガン物質を含んだ「焦げ」を食べないことですが、焦げはトン単位で摂取しないとガンの原因にはなりません。紫外線は皮膚ガンのリスクを指摘されて、日差しをケアする人も多くなっていますが、皮膚ガンのリスクになるのは白人の場合であって、日本人の場合は紫外線がガンの原因にほぼなりません。

検診率の低さ

欧米各国と日本の一番の違いはガンの検診率です。約8割の欧米に比べて、日本は4割ほどです。ガンは自覚症状が現れる段階ではすでにかなり進行していて、治療が困難になるケースが多いのです。自覚症状がない早期段階で見つけることが肝心で、ガンによる死亡率を下げる有効な手段なのです。

    

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