「とりあえず服用」の危険性 ~生活習慣病薬~
高齢者のリスク

高齢者にはさらに大きなリスクもあり得ます。高齢になるほど血圧や血糖値は上がる傾向があり、基準値と比較して高いからと診断されて何年も薬を服用している高齢者が日本には多数います。しかし、血圧や血糖値が高いのは脳に十分な酸素と糖を行き渡らせる適応現象という側面もあるのです。

薬の副作用で

血圧を下げる降圧剤を飲むと、だるくなったり、足元がふらついたりして、転倒につながることがあります。高齢者は脳卒中になるよりも転ぶリスクの方がずっと高いのです。転んで骨折して、そこから寝たきりになってしまうならば、何のために血圧を下げたのかという話になります。低血糖も同じようなことで、頭が朦朧としてきて意識障害を引き起こすリスクがあります。数値だけを診てそれを薬で下げることは、場合によっては生活の質を下げる他のリスクを招く可能性もあります。

開発されたから使いだした?

降圧剤を飲めば確かに血圧は下がります。しかし、血圧を下げる薬が開発された当初は、その薬による疾病に対しての予防効果のエビデンスが無い状態で、降圧薬が使われてきたのが実情です。最近になってやっと調査するようになり、製薬会社による降圧剤の試験では、薬によって血圧を下げれば心筋梗塞や脳卒中の確率を下げることは証明されています。

差はたったの0.6%

血圧を下げなかった場合は1年あたり亡くなる人が3.2%、血圧を下げると2.6%となり、差は出ましたがたった0.6%で、残り99.4%の人は血圧を下げても下げなくても結果は変わらなかったのです。コレステロール値を下げる薬も同じようなことが言えます。薬を飲めば血圧やコレステロールの数値は下がります。しかし、大多数の人にとってその数値を下げることは、必ずしも心筋梗塞や脳卒中の予防に直結しないのです。

    

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