下り坂ではなく…崖のよう?「老化のしくみ」

44才と60才

なだらかな下り坂のように人は老いてゆく…これまで老化についてはそのように考えられてきたのですが、実はそうではないかもしれません。米国スタンフォード大学の研究により「老化は44才と60才で急激に進行する」ことが明らかになりました。40代半ばと60代に入るあたりで、人の体内に顕著な変化が起こるのです。

「第一の老化」と「第二の老化」

そのことが老化に関連する疾患リスク増加につながっている可能性が指摘されています。「第一の老化」40代半ばでは、脂質やアルコール代謝などに関連するデータが急激に変化します。そのことによって、心血管疾患や代謝関連疾患リスクが高まると考えられます。人間と遺伝子が99%一致すると言われるチンパンジーの寿命は44才位と言われており、医療的措置を何もしなければ人の寿命もそれくらいなのかもしれません。「第二の老化」60才では、腎機能や免疫機能などに関する変化が顕著で、腎機能障害や感染症リスクが増加します。

後天的要素も大きい

44才で老化が始まるという事実を知って、若い時から老化することにショックを受ける方もいるかもしれません。しかし、悲観しすぎたりあきらめたりする必要はありません。じつは遺伝的要素が老化に及ぼす影響は少ないと考えられているからです。一卵性双生児を長期間追跡した研究では、老化に影響を及ぼす遺伝的要因は約25%で、残りの75%は後天的要因、つまり、食事や運動に気を使うことで老化をある程度コントロールできるのです。

臓器によって老化スピードが違う

さらに、意外と知られていないのが、臓器は部位によって老化のスピードが大きく異なるという点です。例えば、心臓や血管などの循環器系、もしくは目などは40代頃から疾病リスクが増加する器官です。一方、脳は老化が比較的遅いとされています。そうした臓器ごとの老化の分岐点を把握して、その年代にあった対策を見極めることが大切です。

   

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