すり足で体幹を鍛えよう 〜能楽に学ぶ〜

能のすり足の健康効果

11月3日「文化の日」にちなんで、11月は文化的なイベントが多くなる月です。文化に触れながら健康に繋がるならばこんなに良いことはありません。日本文化には健康に良い伝統的なものが多いのです。日本の踊りの伝統芸能である「能」、その基本的な動きである「すり足」は健康にとても良い動きです。

大腰筋を鍛えられる

すり足は足を上げずに足全体で地面をするように移動します。すり足の動きは股関節から足を出すことから始まります。ひざを軽く曲げた姿勢から大腰筋をわずかに動かすことで足を前に出しますが、このわずかな動きが深層筋の鍛錬につながります。これによって背骨と脚を結ぶ大腰筋が鍛えられます。大腰筋は立ったり歩いたりする動作を支えるので歩行などで鍛えることができますが、年齢が上がるにつれ衰えがちです。能の動作をすることで、体の深層筋や大腰筋を目覚めさせる効果があり、体軸を安定させ体をよりしなやかな状態に導きます。

丹田(たんでん)を意識

能楽に限らず和服に下駄や草履を履いていた頃のいわゆる「和の動き」では、丹田と呼ばれる部位を意識する動きが多く見られます。丹田はおへそから5センチ下でお腹から5センチほど奥にあり、立つ時に体の重心となっています。丹田のような体の要の位置を意識すると下半身が安定し、上半身のよけいな力が抜けて、美しい姿勢やしなやかな身のこなしが実現できます。こうした伝統的な和の動きからヒントを得て、体幹などを鍛えようとする運動として和ピラティスなど新しい健康法も出てきています。

能をイメージした簡単な動き

能をイメージして体幹を鍛える動きもおススメです。肘を曲げて脇を締めて、両手のひらに何か棒のようなものを載せているのをイメージしましょう。腰を軽く落として、腕と足をゆっくり開きながら、軽く左右に揺れる感じで重心を左右に移動します。その際に重心を上下には動かしません。最後に肩の力を抜いて再び足を揃えます。この一連の動きを10回程度してみましょう。

   

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