エアコンから出るカビが原因 「夏型過敏性肺炎」
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梅雨時には湿度の高さやエアコンの結露などで、身の回りにカビが発生しやすくなります。恐ろしいことに、こうしたカビによって肺炎が引き起こされるケースがあります。梅雨から夏にかけてのカビによる肺炎は夏型過敏性肺炎と呼ばれ、風邪とよく似た症状が出るので風邪と見分けがつきにくいのです。
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乾いた咳、微熱、息切れ、だるさなどの症状が見られますが、初期であればカビなどの抗原を避けることによって改善します。しかし、長期間にわたって抗原にさらされていると炎症が慢性化して、肺の壁が厚く硬くなり、すぐには元に戻らなくなります。発症が梅雨時から夏で、その時期以外には出ないのが特徴です。40代以降で発症しやすい傾向があり、大人こそ知っておきたい病気です。
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夏型過敏性肺炎の原因となる物質は、酵母カビの一種であるトリコスポロンなど室内に発生しやすいカビです。これらのカビ胞子を吸い込むことでアレルギーを引き起こして発症します。トリコスポロンは湿気が多く、日当たりや風通しが悪い場所で発育します。高温多湿な環境で腐木などを栄養源として育つため、築年数の古い木造家屋に多いといわれてきましたが、現代の気密性が高いマンションでも、風通しが悪く湿度が高くなりやすい場所、キッチン水周りや洗面所、押入れや窓のサッシ回りなどのほか、エアコン内部も注意が必要です。
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トリコスポロンの胞子はとても小さく、飛散しやすい特徴があります。そのため、肺胞の中まで吸い込まれやすく、肺炎が引き起こされてしまうのです。重症化を防ぐには、夏型過敏性肺炎か否かを早めに診断してもらう必要があり、血液検査でトリコスポロンに対する抗体の有無を調べれば分かります。「夏になると毎年風邪をひいて咳が出る」という人は、このタイプの肺炎にかかっているかもしれません。呼吸器科などできちんと診察を受けましょう。
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