「副作用のない薬は…ほぼ無い」と心得よう

効用あるが…

薬は一定の効用が見られなければ薬として認められません。ですから効果があることは間違いないですが、問題は「どのていど」という点です。例えば、高血圧を改善すれば心筋梗塞や脳卒中を下げられるとされていて、血圧を下げる薬は開発中の実験で降圧の効果が確認されています。

じつは小さな差

しかしそのデータ結果を細かくみると、みなさんが考える効用と違うかもしれません。例えばある降圧薬の研究では、薬を飲まず血圧を下げなかった場合、1年あたりの心筋梗塞や脳卒中になる人が3.2%でした。一方、薬で血圧を下げるとこれが2.6%になりました。有意差ではありますが、その差は0.6%に過ぎません。逆にいえば、残りの99.4%の人は血圧を下げても下げなくても、心筋梗塞や脳卒中へのリスクや影響は変わらないのです。

副作用が気になるケースも

コレステロール値や血糖値の薬に関しても、血圧と同じことが言えます。しかも、コレステロール値を下げる薬の中には、ごくまれではありますが、副作用として筋肉が破壊されたり腎臓を傷めたりするものもあります。そして、血糖値については、高血圧や高コレステロール値と違って、数値を下げれば脳卒中や心筋梗塞のリスクが減る効果として、はっきりした数字がでていません。それどころか最近では、薬によって血糖値を下げすぎるとかえって寿命を縮めるリスクすら疑われています。

しっかり知ろう

飲む薬にどのくらいの効果と副作用があるかは、医師や薬剤師に確認したり調べたりすべきでしょう。しかも、血圧を下げたりコレステロール値を下げたりするという直接的な効用だけでなく、病気に対してどのくらい予防効果があるのかも知っておく必要があります。特に生活習慣病など慢性病に関する薬は、老後に自分がどのように生きたいかということに密接に関わるので、前もってしっかり考えておくことが大切です。

   

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