老化は血管の内部から始まる 「血管内皮細胞」

人は血管から老いる

目に見える「老い」を気にする人は多いですが、本当に気にしなければいけないのは体の内部の「老い」です。「人は血管から老いる」とも言われています。それもそのはずで、血管は体のすみずみまで張り巡らされ、血管の総延長は1億メートルに及びます。

カギは「血管内皮細胞」

体中の細胞に必要な血液を運ぶ血管がダメになったら、体のさまざまな部位の機能が低下して老化するのは当然です。血管は3層構造になっていますが、いちばん内側にあるのは血管内皮細胞と呼ばれる薄い細胞です。この細胞が血流と血管の質を決める重要な働きを担っています。体中の細胞へ酸素と栄養素を届けてその代わりに二酸化炭素と老廃物を受け取ることが血液と血管の大切な役割です。

回復しやすい

血管の老化は血管内皮細胞の衰えから始まります。この細胞が衰えると、血管が衰えて動脈硬化が促進されます。それと並行して血小板の働きが活発化して血栓ができやすくなります。血栓ができて、しかもそれが血管全体を詰まらせたり血管を破裂させたりすれば、命に関わる大きな問題です。運動不足や高血圧などで血管内皮細胞の働きは落ちていきますが、良くない生活習慣を正しく変えられたら、一度は働きが落ちた血管内皮細胞を正常な状態に戻し、動脈を若返らせることはそれほど大変ではありません。

プラークができると…

しかし、血管内皮細胞の動きが落ちてすぐ対処せずに、そのうち血管の内側にコレステロールが溜まり、プラークと呼ばれる粥状のコブが血管内に生じてその蓄積が始まると、血管の状態を元通りにするのは困難になります。何らかの原因でプラークの中身が飛び出ると、それによって生じた傷口を塞ぐために血小板が集まり、血液が固まって血栓ができます。血栓が心臓で生じると心臓病に、脳で生じると脳卒中が起きるということです。

   

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