アルコール以外の原因が増加中 −脂肪肝−

肝臓の機能

摂取された栄養素は肝臓によって各細胞で使いやすい形へと加工され、血液を通して全身へ送られます。いわゆる代謝機能です。また、腸管内で発生するアンモニアや、アルコールを始めとする有害物質を無毒化するのも肝臓です。肝臓が弱ってこうした代謝や解毒の作用が滞ると、人は疲れを感じやすくなります。

非アルコール性脂肪肝

肝臓の機能低下として一番起こりやすいのが脂肪肝で、今や日本人の3人に1人が脂肪肝と言われ、もはや国民病とも言える割合の高さですし、肝硬変や肝臓ガンへと進行するリスクが指摘されています。脂肪肝の原因として思いつきやすいのはアルコールですが、過度の飲酒による「アルコール性脂肪肝」より、お酒を飲まない人の「非アルコール性脂肪肝」の患者数が最近は明らかに増えています。お酒を飲まない人であっても糖質過多などの原因により、自覚症状がないまま肝臓の機能を低下させて、疲れやすくなっているケースが多いです。

肝硬変の原因も変化

さらに機能が低下した状態が肝硬変です。さまざまな理由で肝臓に炎症が生じた結果、線維というたんぱく質が増加して肝臓全体に広がって肝臓が硬くなる状態です。長らく肝硬変の原因1位はC型肝炎でしたが、治療薬で95%が治るようになりました。そのためここ数年は脂肪肝が原因の6割近くを占め、その内でも非アルコール性脂肪肝は9倍にも増えています。

早めの気づきが大切

肝臓は8割以上が壊れても働き続けることができ、また神経など痛みを感じるものがありません。そのため、かなり悪くなるまで放置されてしまい、気がついた時には手遅れで悪化した状態から戻すことが難しくなります。肝臓は再生力の強い臓器なので、早めに気がつけばよい状態に戻すことは可能です。そして、肝臓をいたわることで体全般の不調が改善される可能性も高いのです。

   

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