フレイルは…身体のことだけじゃない!

健康と介護の間

「フレイル」とは、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体能力や認知機能の低下がみられる状態を指します。加齢とともに運動機能や認知機能が低下し、いくつかの慢性疾患の併存など、生活機能が障害されて心身が脆弱(フレイル)になった状態です。高齢者の多くはフレイルを経て要介護状態へ進むと考えられています。

当初は身体的なもの?

フレイルの概念が初めて出てきた頃、指標として使われていたのは米国の研究者フライド氏によるものでした。「体重減少、疲労感、日常生活の活動量減少、歩行速度の減弱、筋力の低下」の5項目で、そのうち3つ以上該当した場合を「フレイル」と定義していました。これらの項目は身体的フレイルに関することでした。しかし、フレイルは単に身体の衰えだけを意味しているものではなく、多面的な要素が含まれています。

3つのフレイル

フレイルは身体的機能だけではなく、身体的、精神・心理的、社会的と、大きく3つに分かれます。身体的フレイルは運動器の障害で移動機能が低下したり(ロコモティブシンドローム)、筋肉が衰えたり(サルコペニア)などが代表的な例です。精神・心理的フレイルは、うつ状態や軽度の認知症の状態などを指します。社会的フレイルでは、一人暮らしや経済的理由など加齢に伴って社会とのつながりが希薄化することで生じやすくなります。

フレイル健診

じつは、75才以上の後期高齢者を対象とした、フレイル予防に着目した健診、いわゆる「フレイル健診」が2020年4月から開始されています。この健診で使われる質問事項には、身体の健康だけでなく、生活満足度など心の健康状態などもあります。他に、三食の習慣や固いものの食べにくさなど食習慣や口腔機能に関するもの、物忘れなど認知機能に関するもの、外出や友人とのつきあいなど社会参加に関するものなどが含まれています。

   

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