症状が軽くても 「注意したい後遺症」

「重症の後だけ」と思われていたが…

熱中症は重症になると脳へダメージが与えられたりして、障害が残るなど後遺症も大変になります。一方、軽い熱中症ではそれほど後遺症は残らないと思われてきましたが、じつはかなり影響がありそうなことが分かってきました。その1つが白内障です。

白内障のリスク

熱中症になった人は、熱中症になっていない人に比べて5年後の白内障の発症率が4倍になるとの研究が発表されました。約260万人の診察データから、熱中症にかかった5年後に白内障を発症した割合を調査した結果です。白内障とは目の中のレンズの役割を担っている水晶体が濁る病気で、症状が進行すると失明のリスクもあります。白内障の主な原因は加齢に因るものと言われていますが、熱中症によっても発症リスクが高くなるのです。熱中症によって体温が上昇した際に、眼球部分の温度も上がることが要因として考えられています。

変性すると戻らない

目の中の水晶体はクリスタリンと呼ばれるタンパク質でできています。そのタンパク質が何らかの原因で変性すると硬くなり、そのあと濁っている状態になります。クリスタリンは一度変性すると元には戻りません。生卵がゆで卵になったら元の生卵に戻らないのと同じようなものなのです。体が熱くなってきたら、体温を下げることが何より大切です。熱中症の危険を感じるほどの暑さにさらされる場合は、眼球部分を直接冷やすのも効果的です。

自律神経失調症にも注意

他に、熱中症をおこした後は自律神経失調症のリスクが上がると言われています。自律神経は体の体温調節システムをコントロールしています。熱中症になるとそのシステムが一度破壊されたような状態となり、それを元に戻すのは難しいのです。体のだるさ、頭痛、下痢、食欲不振などの症状が、長い場合には2か月間も続くリスクがあります。熱中症にならないに越したことはないのです。

   

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