経済格差ではなく情報の格差 ―健康格差―

健康格差

「健康格差」とは、経済状態や職種など社会的な環境の差によって健康状態に影響が出ることを指します。これは個人レベルにとどまらず、地域や集団における健康状態の差にまで及びます。社会全体としては、こうした集団や地域全体の問題の方が重要です。

国の施策にも

例えば、地域の平均所得が100万円増加すると、歯がない人の割合は減る、との調査があります。他にも、低学歴の人の割合が多い地域は死亡率と自殺率が高い傾向にあることが調査として挙げられます。じつは健康格差の是正は国の課題となっていて、国の健康政策である健康日本21でも「健康格差を是正していくこと」が目標の1つに掲げられているほどです。

日本の調査は少ない

こうした研究は欧米諸国で多く行われており、それを日本が参考とすることが今までは多かったのですが、国民性や生活習慣の違いなどがあるので、今後は日本で独自の研究や対策が必要と思われます。例えば、日本は公的保険制度が充実しているため、欧米ほど医療機関の受診機会と収入との関連が欧米ほど大きくはないかもしれません。また、体型などの違いによって、生活習慣病への対策も日本固有のものが必要と思われます。

知識は大切

経済的格差の影響が大きく表れるのが、「食生活と栄養」と言われています。生涯で受ける教育年数が短い人は年数が長い人よりも死亡リスクが高くなる、との結果がでています。これはよく考えてみると、経済的影響というよりは教育的影響です。バランスの良い食事、種類が豊富な食事が健康に良いことを情報として知っているかという点です。お金をかけなくてもできることはあるはずです。経済的格差というより情報格差を無くすことが必要と思われます。

    

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